
私たちの身の回りには、多くの加工品が存在しています。「製缶」も職人と機械の力によって行われる加工作業の一つです。
【製缶について】
かつては、気体や液体が漏れることのないように溶接作業を行い、タンクや水槽を作ることを製缶と呼んでいました。現代ではタンクや水槽の加工に限らず、金属素材の切断から始まり、仮溶接・本溶接の順に加工を施したものを立体的に組み立てる作業全般を製缶と呼ぶようになりました。
広義では、缶状の金属容器を作る作業の他に、厚鋼板、形鋼、鉄骨などを加工する作業も製缶と呼びます。また、製缶に使用する金属素材の種類や形状は製作物によって異なります。
【製缶の要とも言える「溶接」とは】
製缶の作業工程の中でも重要なのが溶接作業です。溶接とは、材料に応じて熱または圧力、あるいはその両方を加えて、二つ以上の部材を結合させる作業のことです。さらに必要があれば適当な溶加材を加えることもあります。
溶接には様々な方法があり、代表的な溶接方法として、融接、圧接、ろう接が挙げられます。
▼ 融接
融接とは溶接する材料(母材)の溶接箇所を加熱し、母材もしくは母材と溶加材を溶かして溶接金属を作った後、凝固・接合させる溶接方法です。
▼ 圧接
圧接とは接合部分に機械的圧力を加え、溶接材料同士を接合させる溶接方法です。
▼ ろう接
母材自体の溶融は行わず、母材よりも低い融点を持つ溶加材(ろう)を使用します。溶かしたろうを接合部分の隙間に行きわたらせることで接合させる溶接方法です。軟ろうを用いたろう接は「はんだ付」、硬ろうを用いたろう接は「ろう付」と呼ばれます。